デジタル化

【中小企業向け】顧客情報ってどこまで整理する必要性があるか?

顧客情報の整理と言いますが、実際に自社で必要とする顧客情報の粒度を理由と合わせてパッと口にすることができますか?

目次

  • 杜撰な顧客情報管理
  • 顧客情報の蓄積例
  • 顧客情報の活用例

杜撰な顧客情報管理

私がお相手するお客様の中には、非常にきちんと顧客管理をされているお客様とそうでないお客様がいらっしゃるのですが、現実として杜撰な顧客管理の方が圧倒的に多いです。

工場運営では、2S(整理・整頓)がきちんと出来ている工場は、決まって良いモノづくりをします。事務も同じで、顧客データの2Sが出来てる企業は、決まって良いサービスの提供を行なっています。これは意外なことにグローバルで共通です。

ただ残念なことに、工場の2Sは出来ているのに、顧客データの2Sが出来ておらず、良い物作りをする素地があるのに、顧客が増えずに企業が多いのも事実です。

杜撰というより、どの粒度でデータをどのように整理すれば良いかとその目的を理解していない可能性が高いのが事実なのではないかと思います。

顧客情報の蓄積例

では、良い企業はどの粒度で、顧客データを整理しているのでしょうか。以下は実際の例で、「進んでいるレベル」まできちっと管理している中小企業もあります。

当たり前のレベル

・企業名/代表電話/代表アドレス/代表者/本社住所/請求書送付住所/業種/代表製品

ちょっと進んだレベル

・上記に加え、最新名刺情報/商談情報/過去クレーム/活動履歴の紐つけ

進んでいるレベル

・上記に加え、データバンク評点/過去3年分の主要財務データ/主な投資案件や現存理由/経営者性格など/HP訪問履歴

顧客情報の活用例

活用例の前に、なぜ差が生まれるかについてです。

傾向として、「新規」を獲得しようとしている企業については、顧客情報をきちんと整備している割合が高いです。一方で、「既存のお客様へのサービス拡大」を主眼においている企業は意外に顧客データの蓄積は杜撰で、品質クレームの対策書すらすぐに参照できる状態が整っていません。これは、常にビジネスの拡大を視野に入れているかの意識の差に他なりません。新規を狙っている企業ほど、既存顧客の情報も非常に大切に扱うという基本を徹底しているという実態が見えてくるのです。「量から質へ」、「選択と集中」という言葉もありますが、それも基本的には顧客創造の手段であり、目的ではないことを忘れてはいけません。最終的には競争に勝ち、新規を獲得していくことを目指すべきでしょう。

それでは、この顧客情報の活用はどういったものがあるでしょうか。いくつか例を紹介します。

住所データ

本社住所や請求先住所は、SFAを使用し受注後すぐに見積もりや契約書を送付するために使用しています。また住所データと言う意味で行くと、新店舗を出店する際のマーケティングデータとして活用する例もあります。

過去クレーム

クレーム種類を集計し自社の弱点の炙り出しや、突出してクレームが多い場合はその案件や顧客を詳細に分析し撤退を行うためのデータとして活用した会社様もいらっしゃいます。

商談データ

なぜ、受注できたのか、なぜ失注したのかを分析し、業種別の顧客ニーズの把握や失注理由から自社の弱点を分析するために使用しているのが通例です。また、競合先につても記載しどの企業、担当者誰に負けたかも記載している実例もあります。

過去の提案ファイル

同じ属性の顧客にプレゼンする際の再利用や、過去失注になった同顧客へ全く同じ提案しないための備忘として保存しているケースもあります。

財務データ

これは、ある製造業の調達部から聞いた話ですが、3年間連続で売上と営業利益が上がっている企業は、かなり高い確率で、尖った技術があるか、生産技術レベルが高いとのこと。特に昔からある産業においては、連続での増収増益の企業は少ないので、技術調査に行く前に財務データは必ずチェックするとのこと。

効率化、商談の成約率向上、ターゲティングなどの用途で、中小企業であれ、大手であれ、新規開拓に貪欲な企業ほど顧客データを活用しています。また、顧客データが整備されていれば、少しデジタル化技術を入れることで、有力顧客候補の発掘や抽出をも可能にし更なる効率化と収益化が待っているのです。

もちろん、認知活動や目の前の成約を取ったりクレームに素早く対処することも大事です。ただ、それらをDoするだけでなく、活動やその履歴を記録し、データバンクなど外部から取得出来るデータを活用することでよりスマートな業務と戦略実行が可能になるのではないでしょうか。

顧客データを整備することは、それだけ顧客を大切に出来る可能性も高まります。こういった地道な努力がFanを作り、いつしか大輪の花を咲かせるのだと思います。

これらを行うには、Salesforceなどのクラウドを使用するのが非常に便利です。

ABOUT ME
kotaro@1988
昭和63年生まれの体育会系♂/ 新卒で総合商社に入社/新興国での駐在期間は、買収したローカル工場のマネジメントを経験/その後、外資系IT企業に転職し営業職として勤務/現在は株式投資と中小企業向けのIT活用を支援/ ゴルフ・株式投資